息子のこと

私の息子は中2です。本来なら思春期真っ盛り、反抗期真っ盛りの年齢です。

でも息子の場合、今が一番素直で安定しています。自分の心の内を当たり前に話してくれますし、家族との時間を大切に思っているのがわかります。

思えば私が建前と本音で引き裂かれそうになっていた時代、彼は一番不安定でした。人の話が聞けず、注意散漫。興味のあること以外は決してやらず、忘れ物ばかり。7つ下の妹と張り合っては、いつも捻くれて不満を抱えている子でした。高学年になると、私が叱ると腹を立てて反撃してくるようになり、親子で取っ組み合いをした事も何度もあります。

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その頃の息子は家族よりも友達優先で行動していましたが、私はむしろそれが安心とさえ思っていました。友達と遊んでいないと、仲間外れにされているのではと心配したり、うまく付き合えていないのではと気を揉んでいましたから。

息子はその頃サッカーに夢中で、毎日毎日公園に出掛けてはサッカーばかりしていました。遊び友達もサッカー少年ばかりで、明けても暮れてもサッカー、サッカーでした。仲間とワイワイ楽しそうにしている息子の姿を、私も夫も誇らしく眺めていたものです。

私はゲームが嫌いだったので、なるべくその類には触れさせないように育ててきましたが、グループに属するとそれが難しくなりました。

グループの中では次から次へと色々なものが流行りました。自分の信念や方針を曲げて、可能な限り受け入れていっても、また次の課題にぶつかります。

年齢が上がるにつれて、それは顕著になっていきました。

最終的にDSを買うか買わないかというところで、私は自分の信念の方が勝ちました。息子は次第にグループからドロップアウトしていきました。

公園で遊んでいても、途中で誰かがDSを始めると、息子以外の子供達は集まって一斉にDSを始めました。孤独にリフティングをしている息子の姿をよく目にするようになりました。

登下校や休み時間の会話も、ゲームの話題ばかりで、知らないとついていけない状態になりました。

1年生の時から心がピッタリと合っていると思っていた大好きな友達も、6年間でどんどん距離が離れて行くのがわかり、休み時間が辛くなっていきました。

象徴的な出来事がありました。

息子が体育の反復横跳びでクラス一番になった時、彼がズルをしたのだと先生に訴えた生徒が数名いました。それは皆、息子が一緒にサッカーをして育ってきた遊び仲間達でした。しかも彼が一番大好きだった友達がその中心にいたのです。

息子はクラス皆の前で、もう一度反復横跳びをやらされました。自分の汚名を晴らす為に倍の力を発揮し、さらに記録を塗り替えることができました。先生は皆の前で彼を褒めて汚名を返上したことを喜びましたが、息子の心は複雑でした。

6年生の9月、とうとう息子は学校に行けなくなりました。

きっかけとなったのは持病の喘息の発作でした。丁度台風が来ていて喘息が起こりやすい季節でした。連休の合間に休んだことで、一週間以上学校を休むことになってしまったのです。症状が治まり久しぶりに登校すると、今度は頭痛に悩まされ、寝起きも悪くなり、倦怠感が付きまとうようになりました。

息子は学校を休みがちになりました。実際に体の不調はありましたが、それを引き起こしているのは心の問題だということは明らかでした。

夫は無理にでも学校へ行けと言いました。どんどん行き辛くなってしまうのを心配していたのです。男子なんて弱虫のレッテルを貼られ馬鹿にされたら終わりだと、まだ傷の浅いうちに踏ん張れと息子に発破をかけていました。息子は必死で自分を奮い立たせ、登校しては休むを繰り返していました。

私は板挟みとなりました。

ここは踏ん張りどころだということは分かっていましたが、体調が悪い息子を無理に学校へ行かせるのは違う気がしていました。サッカー部の顧問のこと、クラスでの自分、友達のこと・・・ポツリポツリと思い出したように話すエピソードの数々に、息子の苦しみのカケラがパズルのピースのように合わさり、全体像が見えてきました。私は一緒に苦しみ、一緒に憤り、一緒に悲しみました。

私がまだ体裁を気にしていた時代でしたので、『不登校』という言葉が重くのしかかりました。まさか自分の子供が不登校になるなんて・・・と受け入れ難い気持ちが正直ありました。しかし久しぶりにサッカーチームに参加した息子の顔を見た時、私はハッとしました。ああ、この子はこのままでは壊れてしまうと思いました。

息子が再び学校を休んだある日、沈んだ顔で横になっている息子の気晴らしになればと、ある漫画を渡してみました。

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「ピンポン」 映画にもなりましたね

夫のものですが、私も大好きな漫画です。夫も私も卓球とは全く縁がありませんでしたが(寧ろ暗いと馬鹿にしていましたが)、この漫画を読んでガラリとイメージが変わりました。

軽い気持ちで渡しただけでしたが、息子は夢中で読んでいました。何度も何度も読んでいました。

そして不意に、

「俺、卓球やる!」と晴れ晴れと言い放ちました。

サッカーが息子の中で仲間ごと剥がれ落ちていきました。そもそも相手からボールを奪い取る、見られなければ反則OK、身体をぶつけに行く等、競技自体も息子の性質には合っていなかったのだと、いま振り返ってみれば分かります。6年間かけて、親子でそこに気付けたのでした。

それから息子は卓球の相手をしてくれる友達と遊ぶようになりました。学年を問わずに遊びました。

学校も休まなくなり、息子は息を吹き返したようになりました。

卓球は反射神経と俊敏さのスポーツですから、息子の得意とする反復横跳びが生きたのでしょう。中学に上がり、迷わず卓球部に入部した息子はメキメキと頭角を現し、たった一年で県大会に進む程に上達しました。今も卓球中心に回る毎日を過ごしています。

まさか例の反復横跳び事件がここに繋がって来るとは、と、今では笑って話せるようになりました。

辛いように思える出来事も、後に益となり、思わぬ花が開くことがあります。

これは自分を裏切り続けてきた私達親子への、神様からの提案であり、計らいであり、大きなギフトだったのだと今しみじみと思います。

 

神様、どうか私達をこれからもお護りください。「あなたのくださる毎日を感謝します。」


息子のこと」への2件のフィードバック

  1. 一緒に過ごした時間の中で、ぽつりぽつりと話を聞いていましたが、これを読み、あの言葉はそうだったのかと、とてもよくわかりました。
    何と表現したらいいのか、分からないのですが、そして 今がある んだなぁと思います。

    素敵なブログですね。すーっと自分の心に入ってきました。

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    1. コメントありがとうございます。色々なことが懐かしく思い出されますね。本当に全てのことが今の為にあるのだということ、その連続なのだとわかります。よしみんさんとご家族の皆さんに神様からの祝福がありますように。

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